自動車保険の弁護士特約は必要か?役立つシーンや注意点を解説
編集者:【大阪ガス】Daigasコラム編集部
自動車保険の弁護士特約について、「本当に必要なの?」「使う場面があるの?」と考える人は少なくありません。
自分に過失がない「もらい事故」に遭うと、保険会社が示談交渉を代行できないため、自分で相手と交渉する必要があります。このようなケースで役立つのが「弁護士特約」です。弁護士特約があれば、示談交渉を弁護士に委託できます。
本記事では、自動車保険の弁護士特約が役立つシーンやメリット、デメリットなどについて解説します。
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目次
自動車保険の弁護士特約とは

自動車保険の弁護士特約とは、事故の際、相手方との交渉を弁護士に依頼したい場合、弁護士費用や法律相談料を保険会社が補償する仕組みです。
対象者は家族全員
弁護士特約は、契約者本人だけでなく一定範囲の家族も補償対象となります
- 記名被保険者(契約の主)
- 配偶者
- 同居の家族(両親や子どもなど)
- 別居の未婚の子(ひとり暮らしをしている学生など)
家族の誰かひとりが加入していれば、家族全員が補償対象となります。
種類は2種類
弁護士特約には、補償範囲が異なる「自動車事故型」と「日常生活補償型」の2種類があります。
|
補償の種類 |
特徴 |
|---|---|
|
自動車事故型 |
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|
日常生活補償型 |
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加入率は56.9%
自動車保険の弁護士特約の加入率について、業界全体の統計はありません。
SOMPOダイレクト損害保険株式会社の調査によると、SOMPOダイレクト『おとなの自動車保険』契約者の56.9%が弁護士特約を付帯しています(2024年3月末時点)。
万が一の事故に備えて、多くの人が弁護士特約の必要性を感じていることがわかります。
出典:「弁護士費用特約」の概要と加入率|SOMPOダイレクト損害保険株式会社
自動車保険の弁護士特約が役立つシーン

「保険に入っているから安心」と思っていても、実際には保険会社が介入できず、ひとりで解決しなければならないトラブルも少なくありません。
ここでは、自動車保険の弁護士特約が役立つシーンについて解説します。
- もらい事故の被害者になった
- 相手が自動車保険に未加入だった
- 示談交渉がまとまらず訴訟になった
- 歩行中や自転車走行中に車にはねられた
もらい事故の被害者になった
弁護士特約は、自分に過失がない「もらい事故」に遭ったときに有効です。
もらい事故では契約者に賠償義務が生じないため、保険会社が代わって示談交渉をすると弁護士法72条(非弁行為の禁止)に抵触する恐れがあり、保険会社は交渉を代行できません
弁護士特約があれば、交渉を弁護士に委託し、適切に交渉を進めることができるでしょう。
相手が自動車保険に未加入だった
事故の相手が任意保険に加入していない「無保険車」だった場合、弁護士特約は有効です。
相手が保険に入っていないと、賠償金の支払い能力が低かったり、支払いを拒否されたりするケースが少なくありません。
このような場合、弁護士であれば、訴訟・強制執行といった法的手続まで視野に入れた対応が可能です
示談交渉がまとまらず訴訟になった
話し合いによる示談では解決がつかず、裁判に発展した場合も、弁護士特約は役立ちます。
訴訟には証拠の収集や書面の作成など、専門知識が不可欠であり、弁護士に頼らずに進めるのは困難です。
通常、弁護士に依頼すると裁判費用や成功報酬として多額の費用が発生しますが、弁護士特約があればこれらの費用をカバーできます。
歩行中や自転車走行中に車にはねられた
自動車保険の弁護士特約は、自動車の運転中だけでなく、歩行中や自転車で移動中に自動車事故に遭った際にも適用されます。
たとえば以下の場合、弁護士特約が使えます。
- 歩道を歩いているときに、車にはねられた
- 自転車で走行中、曲がり角で巻き込み事故に遭った
- 子どもが登下校中に、横断歩道で車と衝突した
弁護士特約は子どもや高齢の家族が被害に遭った際も、弁護士のサポートを受けられるため、家族全体を守る備えといえるでしょう。
自動車保険の弁護士特約のメリット

弁護士特約を付帯すると、事故の被害に遭った際の経済的な損失だけでなく、解決までの精神的な負担を軽減できます。
ここでは、自動車保険の弁護士特約のメリットを解説します。
- 保険会社が弁護士費用を負担してくれる
- 弁護士に示談交渉を任せられる
- 特約を使っても等級が下がらない
保険会社が弁護士費用を負担してくれる
弁護士特約は弁護士費用を、保険会社に負担してもらえるのがメリットです。
弁護士への依頼は、着手金や成功報酬などで数十万円、事案によっては数百万円単位の費用が発生する場合もあります。
弁護士特約を付帯していれば、一般的に最大300万円まで補償されるため、交渉にかかる弁護士費用の心配をせずにすむでしょう。
弁護士に示談交渉を任せられる
弁護士特約は、事故の相手方や相手側の保険会社との示談交渉を、弁護士に委託できます。
事故状況の説明や過失割合の算定、最終的な示談金額の調整などを、弁護士が窓口となって進めてくれます。
また、弁護士が介入することで、保険会社独自の基準よりも高額な「弁護士基準(裁判基準)」での交渉が可能になります。自分で交渉するよりも、受け取れる賠償額が増えるケースもあるでしょう。
特約を使っても等級が下がらない
弁護士特約を利用しても、翌年以降の保険料には影響がありません。
自動車保険には、保険を利用しても等級に影響を与えない「ノーカウント事故」というルールがあり、弁護士特約はその対象に含まれています。
通常、事故によって自動車保険を利用すると等級が3等級下がり、翌年の保険料が上がります。しかし弁護士特約を利用しても、等級が下がることはありません。
「保険料が上がるから使うのをためらう」という心配がないため、必要なときに安心して利用できるでしょう。
自動車保険の弁護士特約の注意点

弁護士特約は利用方法や契約状況によっては、補償が十分に受けられないケースがあります。
ここでは、自動車保険の弁護士特約の注意点を解説します。
- 事前に保険会社の承認がないと利用できない
- 弁護士費用には上限額がある
- 故意または重大な過失(重過失)には使えない
- 家族間で補償が重複していないか確認する
- 特定の弁護士を指名できない可能性がある
事前に保険会社の承認がないと利用できない
弁護士特約を利用する際は、事前に保険会社の承認を得る必要があります。
弁護士特約は、保険会社が支払う費用の妥当性を確認したり、事故が特約の支払い対象(免責事由)に該当しないかを審査したりする必要があります。
保険会社に連絡せずに弁護士への依頼を進めると、弁護士特約が適用されず、費用が全額自己負担になる可能性があります。
弁護士費用には上限額がある
弁護士特約で補償される金額には、一定の上限が設けられています。多くの保険会社では、法律相談料で10万円、弁護士費用(着手金や報酬金など)で300万円が上限です。
死亡事故や重度の後遺障害が残る事故では、費用の上限を上回る可能性があります。上限の差額分が自己負担になるという点は、理解しておきましょう。
故意または重大な過失(重過失)
弁護士特約は、故意または重大な過失による事故には適用されません。また、天災による事故にも適用されません。具体的には、以下のようなケースで適用外となります。
- 飲酒運転や無免許運転中の事故
- わざと起こした事故
- 地震・噴火・津波などの天災による事故
弁護士特約は、法令を遵守している状況で発生した「予期せぬトラブル」を救済するための制度であると理解しておきましょう。
家族間で補償が重複していないか確認する
弁護士特約は、家族のうち誰かひとりが加入していれば、同居の家族全員をカバーできます。複数の車にそれぞれ特約をつけても、受けられる補償額が合算されて増えるわけではありません。
家族で複数台の車を所有している場合、補償内容が重複していないか確認しましょう。
特定の弁護士を指名できない可能性がある
自分の知り合いや特定の弁護士に依頼したいと考えていても、必ず希望が通るとは限りません。
保険会社は、自社の支払い基準に合意し、円滑な連携ができる弁護士との契約を推奨する傾向があります。自分で選んだ弁護士を指名できたとしても、弁護士が請求する報酬額が保険会社の定める基準を超えていた場合、差額分は自己負担となります。
特定の弁護士への依頼を希望するなら、事前に「自分の選んだ弁護士でも特約の範囲内で対応可能か」を確認しましょう。
自動車保険の弁護士特約に関するよくある質問

ここでは、自動車保険の弁護士特約に関するよくある質問に回答します。
- 自動車保険の弁護士特約は不要ですか?
- 自動車保険の弁護士特約はいくらですか?
- むち打ちで弁護士特約を使うとどうなりますか?
自動車保険の弁護士特約は不要ですか?
事故に遭った際のリスクを考慮すると、付帯を検討する価値が高い特約です。
たとえば、「もらい事故」の場合、弁護士法により保険会社は示談交渉を代行することができません。そのため、相手との交渉は自身でおこなう必要があります。
専門知識のない個人が、適切に判断して交渉を進めるのは困難でしょう。
また、家族の誰かひとりが加入していれば、家族全員が補償対象となります。子どもや高齢者のいる家族の場合、弁護士特約があることで安心感を得られるかもしれません。
なお、SOMPOダイレクト損害保険株式会社の調査によると、契約者の56.9%が弁護士特約を付帯しています(2024年3月末時点)。
出典:「弁護士費用特約」の概要と加入率|SOMPOダイレクト損害保険株式会社
自動車保険の弁護士特約はいくらですか?
自動車保険の弁護士特約は保険会社によって差がありますが、年間で1,500〜4,000円程度です。最大300万円までの弁護士費用が補償されます。
ただし、無事故の場合は、掛け捨てになるため、安心のための備えとして納得できるかが加入のポイントといえるでしょう。
むち打ちで弁護士特約を使うとどうなりますか?
むち打ちは目に見える外傷がないため、相手の保険会社から、低い基準での示談金を提示されることが少なくありません。弁護士特約を利用して、弁護士に交渉を依頼すれば、示談金を「弁護士基準」に引き上げられる可能性があります。
ただし、治療状況や事故の規模によっては期待どおりの結果にならない場合もあるでしょう。
自動車保険の弁護士特約で、万が一に備えよう

自動車保険の弁護士特約は利点が多いものの、自身の状況によっては必要性が低い場合もあるでしょう。
もらい事故による交渉トラブルを避けたい人や弁護士のサポートを受けたい人にとって、弁護士特約は万が一の備えになります。
一方で、発生確率の低いリスクに対して費用をかけたくない人にとっては、付帯する必要がないかもしれません。
弁護士特約の仕組みや補償範囲を正しく理解し、状況にあった備えをしましょう。
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